こんにちは。パーソナルトレーナーの渡邊拓也です。
今回は、最近注目されている「ヴィーガン」と「筋トレ」についての解説です。
「ヴィーガンは、筋肉がつきにくいのか?」という疑問にお答えすべく、ヴィーガンと筋トレについての相性を考察していきます。
ヴィーガンに興味があるけど、植物性ばかり食べるから筋肉はつきにくいのでは?と疑問に思う方必見です!
そもそもヴィーガンとは?
簡単にヴィーガンを説明すると、「卵や乳製品を含む、動物性食品をいっさい口にしない、「完全菜食主義者」です。
ベジタリアンという言葉は、様々なタイプの菜食主義者の総称です。
ベジタリアンとヴィーガンは混同されがちですが、ベジタリアンは体の健康に、ビーガンは心の健康にウェイトを置いている、そんな印象を受けます。
さらに、食だけに限定するのではなく、身の回りのものからできるだけ動物由来のものを避けることで動物の命を尊重する「エシカル・ヴィーガン」という人たちもいます。
植物性たんぱく質と動物性たんぱく質の違い
最大の違いは必須アミノ酸のバランスにあります。
動物性たんぱく質はほとんどが9種類の必須アミノ酸を含んでいますが、一部の植物性たんぱく質は不足しているものがあります。
アミノ酸全体の働きは不足している必須アミノ酸のレベルにあわせて制限されてしまうので、タンパク質を摂っているつもりでも足りていなかった、となってしまうことがあります。
また、体内の吸収率も動物性たんぱく質が97%に対して、植物性たんぱく質は84%となっています。
しかし、これら2つのたんぱく質もメリット、デメリットがあります。
動物性たんぱく質
メリット
- 必須アミノ酸を多く含んでいる
- 筋肉作りの指令を出すロイシンの含有率が高い
- 炭水化物をほとんど含んでいない
- オメガ3(主に魚)が含まれている
デメリット
- 身体に悪いとされている飽和脂肪酸が含まれている
- 一部の食材には脂質が多く含まれている
- 食物繊維が含まれていない
- 魚の場合、水銀等を摂取する可能性がある
植物性たんぱく質
メリット
- 糖質も摂取できる
- 食物繊維を摂取できる
- 脂肪を含んでいる場合、大抵は身体に良い脂肪(オメガ3)
- スポーツ、運動において植物性中心の食生活がパフォーマンスアップをもたらすと証明されている
デメリット
- 糖質も多く摂取してしまう
- アミノ酸スコアが動物性と比べて低い
- ビタミンB12が不足しがちになってしまう(植物性の食事だけにしている場合)
- 筋肉を成長させるためのたんぱく質量を摂取しようとすると、かなりの量を食べる必要がある。
ヴィーガンと筋トレの相性は?
ヴィーガンと筋トレの相性は、筆者個人の見解としては、「悪くない」というのが答えです。
実際に、ヴィーガンでボディビルダーの選手もいますし、筋肥大をして身体を大きくしている人もたくさん。
しかし、前述の通り、アミノ酸スコアの観点や大量のたんぱく質を必要とする筋肥大には、効率的ではないという事実があります。
やはり、身体を大きくすることにフォーカスすると動物性たんぱく質を摂取した方が、効率は良いでしょう。
しかし、筋トレを筋肥大を目的としない場合は、植物性中心のヴィーガンでも十分です。
その場合は、不足しがちな栄養、ビタミンB12の摂取をサプリメントでしていきましょう。
ヴィーガンとスポーツパフォーマンスについて
スポーツ人口の約10%が菜食主義との報告があり、人気の高まりをみせています。
近年、ヴィーガンとスポーツパフォーマンスの向上、運動誘発性酸化ストレスの調節、抗炎症作用、免疫応答などとの関連が研究されていて注目されています。
植物の抗酸化特性と抗炎症特性には、回復時間の短縮、遅発性筋肉痛の減少、関節痛の緩和といった効果があり、怪我の治癒を早めるはたらきもあることが示されています。
植物ベースの食事には、血液粘度を改善する効果もあり、これにより全身に酸素がいきわたりやすくなり、回復が早くなるという効果も研究されていて、そうした諸々の要因が、選手寿命を長くする可能性もあるとされています。
また、プロのアスリート達が実際に植物性を中心とする食事でパフォーマンスが向上していることを認めています。
代表的なものに、アーノルド・シュワルツェネッガーが制作したネットフリックスのドキュメンタリー「ゲームチェンジャー:スポーツ栄養学の真実」があります。
このドキュメンタリーでは、第一線のアスリート本人の証言をもとに、ヴィーガン食によって競技パフォーマンスが向上した経緯が描かれています。
まとめ
ヴィーガンは、筋トレとも相性は悪くありません。
しかし、効率的な筋肥大を考える場合、向いていないのかもしれません。
スポーツパフォーマンスや、疲労回復などの観点でみると、ヴィーガンは更に高いパフォーマンスを高めてくれる要因になることも間違い無いようです。
それぞれの目的によって、ヴィーガンが適しているのか、適していないのかを判断するのがベストかもしれません。